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bpartner_0005|紅殻町博物誌|raiL-soft
主人公にはいまだはっきりしない幼い頃の記憶がある。それは子供の頃、山形の祖父母の家に預けられていた折り、おそらくは近所と思しい町の一角でよく遊んでいたというものだ。しかし彼が長じて、思い出話の折りなどにその町のことを話してみても、父母はどうにもその町のことははっきりとは知らず、主人公自身もその街並みがどこだったのか、記憶が定かではない。そんなある時、主人公が通っている大学の研究室で資料整理をしてい… -
bpartner_0034|花散峪山人考|raiL-soft
―――それは過去。けれどほど遠からぬ、この国のむかし―――二つの大きな戦争の間。街には電気の明かり灯り、鉄とセメントの建物が目立つようになっていった時代。一方、まだ山々には前人未踏の原生林が多く残り、その深い影の中に伝説、伝承を潜ませていた時代。濃密に立ちこめる山気と、分厚く積もった落ち葉とを踏み乱し、駆けゆく者がある。そう、樹々の間に間を荒々しく駆けてゆくのは、修羅だ。復讐の炎に我が肉を炙る、鬼… -
bpartner_0019|信天翁航海録|raiL-soft
―――長く、幾つもの国にまたがる大きな戦争の後だった、のかもしれない。あるいは経済、市場が原因もわからないくらい長い事混乱していた、のかもしれない。とにかく世界は全体的に混沌として、薄暗く、貿易なども混乱の最中にあった。それでも人々は懸命に生きていたし、国自体はぐらついていても、それなりに逞しく、物資も民間レベルでやりとりを続けていた。そんな物資を運ぶボロ船一隻。その名も信天翁号(アルバトロス)。…
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